中学受験が終わった途端、勉強しなくなった子どもたち。中学受験後に「深海魚」にならないために

中学生

中学受験を終え、晴れて中学校に入学。

「これでやっと終わった!」

そんな気持ちになるのは、当然のことなのかもしれません。

これまで一生懸命勉強してきたのですから、入学までの間くらいは思いっきり遊ばせてあげたい。今まで我慢してきたゲームも自由にさせてあげよう。

親の方も、

「中学受験、本当によく頑張ったんだから、今は好きなことをさせてあげよう」

と、少し気が緩んでしまいます。

我が家も、まさにそうでした。

ところが、そんな生活を送っているうちに、中学校生活はあっという間に始まります。

そして、そこで初めて気づくのです。

「あれ? うちの子、勉強しなくなってる……」


入学前から始まっている「中学受験後の落とし穴」

入学者説明会で配られた大量の宿題。

「こんなにあるの?」と驚きながらも、入学まではまだ時間があるからと、ついつい後回し。

そして、だらだらと過ごしているうちに、気がつけば入学式。

「さあ、中学生になったんだから、これからは勉強!」

と思っていたのも束の間です。

学校生活が始まると、オリエンテーションやさまざまな行事、部活動など、中学校生活をスタートさせるための予定が次々と入ってきます。

「あれよ、あれよ」という間に時間が過ぎていき、気がつけば……

中間考査。

もちろん、子どもは定期テストの勉強の仕方なんて知りません。

ところが親の方は、

「中学受験であれだけ勉強してきたんだから、定期テストくらいある程度できるでしょう」

なんて思ってしまいます。

そして、結果を見て驚くことになります。


「えっ、うちの子の成績、こんなに下なの?」

中間考査が終わっても、間違えた問題のやり直しをするわけでもなく、学校行事が続いていきます。

そして、あっという間に期末考査。

一学期が終わり、成績表が返ってきたとき、

「えっ、うちの子の成績、こんなに下の方なの?」

と、初めて現実を突きつけられることになります。

でも、よく考えてみれば当然なのかもしれません。

同じ学校に通っている子どもたちは、みんな中学受験を経験しています。

しかも、入学してくるのは、ある程度似たような学力の子どもたち。

中学受験を終えたからといって、何もしなくても上位にいられるわけではありません。

むしろ、これまでと同じように「テスト前にしっかり勉強する」という習慣がなければ、成績が下がってしまうのは当然です。

「テスト前の勉強方法さえわかれば、次はすぐに成績も戻るはず」

確かに、そうなのかもしれません。

中学受験を経験した子どもたちですから、学習するための力は持っているはずです。

ところが、ここで一つ、見落としてはいけないことがあります。


「親子二人三脚」で中学受験を乗り切った家庭ほど注意したいこと

私が特に気をつけなければならないと思うのが、

親子二人三脚で中学受験を乗り切った家庭ほど、中学受験後に子どもが勉強できなくなることがある

ということです。

もちろん、親子二人三脚で受験を乗り切ること自体が悪いわけではありません。

むしろ、中学受験において親のサポートはとても大切です。

たとえば、

  • 今日やるべきことを親が順番に指示する
  • 間違えた問題を親が把握する
  • 間違えた問題のやり直しをさせる
  • 類似問題を探して解かせる
  • 苦手な単元を親が把握する
  • テスト前に必要な勉強をさせる

こうすることで、子どもが効率よく勉強でき、本来持っている力を十分に発揮することができます。

我が家もそうでした。

勉強が楽しくて仕方がない子なんて、そう多くはありません。

勉強にきちんと向き合えない子。

隙あらば勉強から逃げようとする子。

そんな子どもを、親はあの手この手で机に向かわせます。

苦手な単元を把握し、テスト前には確認する。

問題を解かせ、間違い直しをさせ、その子に必要な勉強をその子に与える。

こうすれば、当然、成績は上がります。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。


「問題を解く力」と「自分で勉強する力」は同じではない

親が子どもの勉強を管理している間、子どもは「与えられた問題を解く」ことに集中できます。

今日はこの問題。

次はこの問題。

間違えたら、ここをやり直す。

この単元が苦手だから、これをやる。

親がすべて考えてくれるので、子どもは言われたことを一生懸命こなせばいいのです。

中学受験の間は、それでうまくいくことも多いでしょう。

しかし、中学校に入学すると状況が変わります。

授業を受けたら、

「自分には何が必要なのか?」

を自分で考えなければなりません。

さらに、

「この内容を理解するためには、どのように勉強すればいいのか?」

ということまで、自分で考える必要があります。

つまり、

「問題を解く力」だけではなく、「自分で勉強する力」が必要になるのです。

ところが、中学受験の間に「自分に必要な勉強を考える」という部分を親が担ってきた場合、子どもはそこでつまずいてしまうことがあります。

これが、中学受験後に勉強についていけなくなる原因の一つなのではないかと思います。


では、中学受験をどのように進めればよかったのか?

ここで大切なのは、

親は子どもに「わからない問題の答えを教える」のではなく、「勉強のやり方を教える」こと

なのではないでしょうか。

もちろん、どうしても理解できない問題を親が教えることも必要です。

ただ、最初から親が先生のように教えてしまうのではなく、まずは子ども自身に「わからないことを解決する方法」を身につけさせるのです。

例えば、間違えた問題があったとします。

そのとき、すぐに親が、

「これはこういうことだから、こうやって解くのよ」

と教えてしまうのではありません。

まずは、次のような手順で進めてみます。

① まずは問題の解説を自分で読む

間違えた問題について、まずは解説を読ませます。

「どうして間違えたのか」

「どこがわからなかったのか」

を、自分自身で考える時間をつくります。

② 解説を読んでも理解できなければ、基本に戻る

解説を読んでもよくわからない。

そんなときは、その問題だけを何度も考えるのではなく、その単元の基本問題に戻ります。

「そもそも、ここが理解できていないのでは?」

と考えることが大切です。

③ もう一度解説を読む

基本問題を確認したら、もう一度、間違えた問題の解説を読みます。

一度目にはわからなかったことが、今度は理解できるかもしれません。

④ 解説を伏せて、もう一度自分で解いてみる

解説を読んで「わかった!」と思っても、それだけでは本当に理解したとは限りません。

そこで、解説を伏せて、もう一度同じ問題を自分の力で解いてみます。

ここがとても大切です。

「わかったつもり」を「自分で解ける」に変えるのです。

⑤ 解けたら、類似問題を探して解く

同じ問題が解けるようになったら、次は類似問題に挑戦します。

ここで、

「似た問題はどうやって探すのか」

ということも、子どもに教えていきます。

教材の中から探すのか、問題集のどこを見ればいいのか。

そういった「問題の探し方」まで、自分でできるようにしていきます。

⑥ 少し時間を空けて、もう一度解く

その場で解けたからといって、完全に身についたとは限りません。

少し時間を空けて、もう一度同じ問題や類似問題を解いてみます。

そして、また間違えたら、どこでつまずいたのかを確認する。

この繰り返しです。


「わからない」を「わかる!」に変えることが勉強

このような経験を繰り返すことで、子どもは少しずつ、

「勉強とは、与えられた問題を解くことだけではない」

ということに気づいていきます。

わからない問題があった。

↓

解説を読む。

↓

それでもわからない。

↓

基本に戻る。

↓

もう一度解説を読む。

↓

自分で解いてみる。

↓

類似問題を探す。

↓

時間を空けて、もう一度解く。

こうやって、

「わからない」を「わかる!」に変えていく。

これこそが、勉強なのだということを教えていくのです。

そして、この経験こそが、中学校に入ってからの「自分で勉強する力」につながっていくのだと思います。


親が「教える」のではなく、「自分でできるようにする」

中学受験の間は、親が子どもの勉強を管理することで、効率よく学習を進められることがあります。

しかし、それをずっと続けてしまうと、中学校に入ってから、

「今日は何を勉強すればいいの?」

「どこをやればいいかわからない」

「この問題がわからないけど、どうしたらいい?」

と、親の指示を待つようになってしまう可能性があります。

だからこそ、中学受験の勉強を通して、少しずつ親の役割を変えていくことが大切なのではないでしょうか。

最初は親が手取り足取り教える。

そこから少しずつ、

「まず自分で解説を読んでみよう」

「どこがわからないのか考えてみよう」

「基本問題に戻ってみたらどうかな?」

「似た問題を探してみよう」

と、子ども自身が考えるように促していく。

親が問題を解決してあげるのではなく、問題を解決する方法を教えるのです。


もちろん、これは簡単なことではありません

正直なところ、勉強のやり方を教えるのは、かなり根気のいることだと思います。

親としては、子どもが間違えた問題を見て、

「ここはこうやって解くの!」

と教えてしまった方が、ずっと早い。

子どもがわからないと言えば、親が説明した方が、その場では早く解決します。

でも、それを繰り返していると、いつまで経っても子どもは「自分でわからないことを解決する方法」を身につけられません。

時間はかかるかもしれません。

何度言ってもできないこともあるでしょう。

それでも、少しずつ子どもに任せていく。

そして、必要なときだけ手を差し伸べる。

それが、将来自分で勉強できる子につながっていくのではないでしょうか。


中学受験のゴールは「合格」だけではない

中学受験は、どうしても「合格すること」が最大の目標になりがちです。

もちろん、志望校に合格することは大きな目標です。

でも、その先には中学校、高校、そしてその先の学びがあります。

中学校に入れば、親が毎日の勉強をすべて管理してあげることはできません。

だからこそ、中学受験という長い時間を使って、

「自分で勉強する力」

を少しずつ身につけていくことも、とても大切なのだと思います。

親が子どもの代わりに勉強することはできません。

でも、

「どうやって勉強すればいいのか」

を教えることはできます。

そして、それを身につけた子どもは、きっと中学校に入ってからも、自分自身で学び続けることができるようになります。

中学受験で身につけてほしいのは、知識や解法だけではありません。

「わからないことに出会ったとき、自分で解決する力」。

それこそが、中学受験後にも子どもを支えてくれる、本当の意味での「学ぶ力」なのではないでしょうか。

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