中学受験の塾に通い始めて、多くの親が驚くことの一つが、宿題や課題の多さではないでしょうか。
最初のうちは何とかこなせていた宿題も、学年が上がるにつれてどんどん増えていきます。
「やっても、やっても終わらない……」
そんな状態になってしまうことも珍しくありません。
さらに、通常授業の宿題だけではありません。
季節ごとの講習、志望校や学力に合わせた特別講習、そして6年生の夏を過ぎれば志望校の過去問にも取り組み始めなければなりません。
各教科の宿題をこなし、丸付けをして、間違えた問題を直しているうちに、あっという間に次の授業。
そして、また新しい宿題が出されます。
「本当は毎月のテスト直しもしたい」
「小テストの復習もしっかりやらせたい」
そう思っていても、毎日毎日宿題に追われ、どうやって時間をやりくりすればいいのかわからなくなってしまいます。
仮に時間をうまくやりくりできたとしても、すべての課題が終わる気配がない……。
そんなときに大切なのが、**「優先順位をつけること」**です。
すべての宿題をやることが目的になっていませんか?
塾から出される宿題は、もちろんどれも必要なものです。
「これもやらなければ」
「こっちも終わっていない」
と、親も子どもも焦ってしまいます。
そして、いつの間にか、
「すべての宿題を終わらせること」
が目的になってしまうことがあります。
でも、本来の目的はそこではありません。
大切なのは、勉強したことが子どもの力として身についているかどうかです。
課題をすべて終わらせたとしても、ただ問題を解いて丸付けをするだけになってしまい、何も身についていなければ意味がありません。
それならば、今の我が子にとって本当に必要な勉強を、優先して取り組んだほうがいいのではないでしょうか。
その子にとって「今、一番必要な勉強」は何か
勉強の優先順位は、子どもによって違います。
そして、同じ子どもでも、その時々によって変わります。
例えば、基本問題がまだ十分にできていないのであれば、応用問題の間違い直しに時間をかけるより、まずは基本問題を徹底的に練習することが必要かもしれません。
計算問題が得意な子であれば、同じような計算問題を何問も何問も繰り返すより、小問集合など、実際のテストで点数につながる問題に取り組んだほうが効果的な場合もあります。
テスト直しも同じです。
みんなが間違えるような難しい問題に時間をかけるよりも、多くの受験生が正解する問題を確実に正解できるようにすることのほうが、合格につながることもあります。
「難しい問題が解けるようになること」だけが、成績を上げる方法ではありません。
本来取るべき点を、確実に取れるようにする。
これも中学受験では、とても大切なことです。
「今の我が子」を冷静に見る
では、何を優先すればいいのでしょうか。
そのためには、まず今の我が子の実力を冷静に、客観的に分析することが必要です。
例えば、
- 基本問題はきちんとできているのか
- 計算ミスや漢字のミスが多くないか
- ケアレスミスが多いのか
- 苦手な単元はどこなのか
- 応用問題以前に、基礎でつまずいていないか
- テストで本来取れるはずの問題を落としていないか
こうしたことを見ていくと、今の我が子に何が必要なのかが少しずつ見えてきます。
そして、「今やらなければならない勉強」がわかってくるのです。
勇気を持って「やらないこと」を決める
課題が多くなればなるほど、親も子どもも、
「これを全部やらなければ合格できない」
と思ってしまいがちです。
でも、必ずしもそうではありません。
もちろん、出された課題をすべてこなせるのであれば、それに越したことはありません。
けれど、課題をこなすことに精一杯になり、ただ終わらせるだけの勉強になってしまっては本末転倒です。
睡眠時間を削ってまで宿題を終わらせたり、理解できていないまま次々と問題を解いたりするよりも、必要な勉強に時間を使い、きちんと身につけることのほうが大切です。
だからこそ、どうしても課題に追われてしまい、
「勉強時間は長いのに、どうも中身が伴っていない」
と感じたときには、勇気を持って優先順位をつけてみてください。
「全部やる」より「必要なことを確実にやる」
中学受験の勉強は、学年が上がるほどやることが増えていきます。
特に6年生になると、通常授業に加えて講習、テスト、過去問など、やるべきことが一気に増えていきます。
だからこそ、すべてを完璧にこなそうとすると、子どもも親も疲れ切ってしまいます。
大切なのは、
「今、この子にとって一番必要な勉強は何なのか」
を考えること。
そして、必要なことから一つずつ、確実に身につけていくことです。
中学受験の勉強では、**「やった量」だけではなく、「何が身についたか」**を見ることも大切です。
もし今、我が子が大量の宿題に追われて苦しそうにしているのであれば、一度立ち止まってみませんか。
すべてをやらせるのではなく、今の我が子に必要なことを見極める。
そして、「やらないこと」を決める勇気を持つ。
それも、中学受験を最後まで走り切るために必要な戦略の一つなのではないでしょうか。
